日本人の住宅の歴史が分かる 宮本常一著「日本人の住まい 生きる場のかたちとその変遷」

宮本常一著「日本人の住まい 生きる場のかたちとその変遷」を読みました。

昭和43年、日本の江戸時代から続いてきた民家の系譜が途絶えようとしていた頃に書かれた日本人の住まいについての本。

知っているようで知らない土間の役割や歴史、家の構造など日本の家、とくに民家について分かりやすく書かれている。

山形の日本海側では明治の初めまで土間で寝るのが当たり前だったり、茅葺き屋根は西日本では萱ではなく小麦が使われていたことなど面白い話がたくさん出てくる。

この本を読むと、日本の民家の歴史はこの50年程で断絶してしまっているのだと改めて感じる。

戦前までの民家は、明らかに江戸時代の民家の系譜だし、江戸時代以前の民家は縄文時代の竪穴式住居から続く住宅の建て方だ。

それがこの50年程で完全に欧米の建て方に変わってしまっている。

在来工法というと、まるで日本古来の工法のようだが、その中身は筋交という伝統工法では使用しない部材を用いて耐震性能を高めている欧米的な思考による工法だ。

日本の伝統工法では筋交の代わりに貫を用いて地震の揺れをいなすようにして耐震性能を高めている。

この工法は現在の建築基準法に沿った在来工法では良しとされていないのだ。

この本を読むと日本の住宅についての見方がかなり変わるはず、オススメです。