ステージ0舌癌入院日記-再手術

長くなったので別ページで追記。

4/21

ICUで目が覚める。全身が重く動かない。ただ口がとにかく痛い。痛いと訴えて麻酔を打ってもらおうとするが、サインが必要とのことで、眼鏡も無いし、意識もはっきりしないまま、言われた箇所になんとなくサインする。手に力が入らない上に見えてもいないから、サインは読めたものではなかっただろう。しばらく麻酔で眠る。13時半一般病棟に戻る。ナースステーション横の個室に移動になっていた。

酸素、点滴、尿管に繋がれた状態。舌は前回の術後より大きく晴れ上がって口を閉じることも出来ない。手術時間は1時間程度ということだったが、体が猛烈に重くてベッドに押さえつけられているように感じる。唾を飲み込むことも出来ず、前回の術後当日に水を飲むことができたが、今回は駄目。水を飲もうとしても口を閉じれないから口からだらだら流れ出てしまうし、ストローで吸う力もなかった。

夜、口の痛みと疲れから逃れようとなんとか眠ろうとするが、まったく眠れない。トイレに立つことも許されず、尿は管で繋がれ勝手に排出されるのだが、尿意が常にあるようで凄く不快。酸素マスクも血と涎でぐちゃぐちゃになるし、とにかく不快。朝までただ耐える時間が続いた。

4/22

水差しを使ってジュースを飲むことができた。125mlのジュースが毎食3本出ることになったが、喉が痛くて飲み込むのが大変なうえ甘ったるくて飲みきれない。

午後、酸素のマスク外れる。トイレまで手摺に掴まりながらなんとか歩いていく。この時はじめて自分の病室がナースステーションのすぐ向かいにあることに気付いた。

便は出ないが、尿はぶくぶく泡を吹きながら出た。管を入れて尿を取っていた人はおしっこがしにくくなると聞いていたが、とりあえず問題なし。熱は下がらず。

喉が痛く、夜になると咳が出て寝付けない。一日中寝ているような起きてるような感じ。痛み止が効いている間の1~2時間を細かく眠って睡眠時間を稼ぐ。

4/23

スポンジ歯ブラシをはじめる。舌に当たらないように、歯の外側だけなぞるように擦る。

お腹の具合が悪い。毎日飲み物だけしかとっていないから当たり前だが、水のような便が一日に何度も出て閉口する。熱下がらず。喉の痛みがあり、咳が出るうえに病室に蚊がでてさらに寝れない。

4/24

一日中うとうとしてYouTubeを見て過ごす。熱下がらす。点滴の刺し直しをする。もう痛いのは勘弁。

喉の痛みと咳がつらい。また蚊が出た。片手で捕獲成功。

4/25

すこし腫れがひいて手術していない右側の舌は、歯に当たらなくなった。とにかく耐える日々。

この日も蚊がでたが片手で捕獲。一ヶ所刺された。

4/26

早朝採血。ネーミングが罰ゲームみたい。

下痢が治らない。少し漏らしてしまい、看護婦さんにシーツや病衣を代えてもらう。情けなくて泣きそうになった。オムツに逆戻り。

いつまでも回復しないからだに絶望。生きて退院出来るのか、不安が募る。

すこし舌の腫れがひいて、熱も下がる。

舌がぬるぬるしてきた。前回の手術後と同じく、生レバーが口の中に入っている感じ。舌に血が通ってきたということなのだろう。舌の色も当初の紫から膿んだような黄色、赤っぽい舌らしい色へと変化してきている。

翌日からペースト食になった。早く点滴を抜きたい。点滴している左腕が肩の辺りまで痛くて堪らない。

再手術後初めて夜しっかり眠ることができた。

4/27

朝から体調がいい。

午前、心電図と酸素濃度測定器外れる。昼飯からペースト食。ジュースだけの食事から解放。点滴が外された。再手術からここまで長かった。今回の入院で何度点滴して注射しただろう。やっと解放された喜びで、不味いはずのペースト食も美味しく感じた。舌に当たっていた歯を少し削る。

4/28

一週間振りに風呂に入る。看護士が風呂場の扉の向こうに待機している状態だったので、手早くシャワーを浴びた。出血は無かったが、疲れた。

今回の手術では、舌に苔があまり生えない。スポンジ歯ブラシで歯茎と頬の間や唇の間、上顎の所など、通常歯ブラシでは磨かないところを擦っているのが良いのかもしれない。歯を磨いたつもりでも、上顎をスポンジで擦るとスポンジがぬるぬるになるくらい汚れている。歯磨きというと、歯を磨くことばかりに気が向くが、歯だけでなく口の中全体をきれいにする心持ちが大切なのかもしれない。

微熱(37.5)少し出血あり。

4/29

やっぱりペースト食は不味い。貧血気味なのは相変わらず。36.8度。ヘモグロビン数値が元々13だったのが、出血して9に、今は11まで戻ってきているとのこと。

万が一の出血に備えてGW中の入院が決定。自宅で出血した場合、救急車でも間に合わないとのこと。こんなに入院が長引くとは思わなかった。

4/30

30分程散歩。今日は暑い。夏のような日射し。ツツジの花も枯れた。入院したときは桜が咲いていたのに。病院の中でどんどん季節が過ぎていく。

熱(36.9)少し高めの状態が続いている。相変わらず出血あり。どうやら舌の表面から出血しているようだ。

明日からは超刻み食。楽しみだが少し不安。

5/1

刻み食に変わる。食後舌が痛くなった。熱(36.8)。舌の表面左側のぐちゃっと崩れたようになった箇所から出血しているようだ。女性医師きて診察。あとは自分の回復力に期待して待つしかないとのこと。

体調が良くなって、暇になってきた。掃除のおばちゃん曰く「暇してるのが、回復してきてるってものよ。ゆっくりしてなさい」

ナースステーション横の個室から大部屋に移る。回復してきたということなのだろう。

5/2

今日で入院から丸1ヶ月。こんなに入院生活が続くとは思わなかった。術後ずっと続いていた下痢がはじめておさまるが、午後からまた下痢。熱は37.0。いつまで微熱と下痢が続くのだろう。

5/3

下痢はおさまったが、熱は36.8で平熱より高い。毎日1時間歩くことにする。

5/4

熱36.7。このまま平熱に戻るのを期待。夕飯から、超刻み食から刻み食に変更。カステラが口の中の水分を持っていかれて食べにくい。

5/5

熱36.8。もう少し下がってほしいところ。早足で散歩したら腹痛。手足に力が入らなくなったが、病室で少し横になったら治った。

5/6

熱37.3。なかなか下がらない。

5/7

明け方5時に計ったときは36.5。朝10時半計ったときは37度。医者に聞いたが原因不明とのこと。

5/8

 昨晩から左側の歯を歯ブラシで磨くようにしたが、毎回出血がある。どうしたものか…熱は36.7。

5/9

教授の回診時に突然抜糸。残ってる糸のせいで化膿してるとのこと。全て抜糸して少し出血。当初の予定では6月抜糸だったので、びっくりしたし痛いけれど、これで早く治るならいい。出血が不安。熱は36.5まで下がる。

5/10

熱は36.8。主治医曰く、熱があるのはストレスではないか、とのこと。たしかに入院中は常にイライラしていた。隣の老人は「よっこいしょ」「どっこらしょ」など独り言が激しく、なかなか風呂に入らず臭い。その上いつも飴を舐めていてくちゃくちゃうるさい。前のオヤジは夜中にいつも何か食べていて、そのくせ「太った太った」と騒ぐ。ほとんど出歩くこともなく夜中に毎日菓子食ってれば太るに決まっている。斜め向かいのオヤジは昼間しょっちゅう電話でぎゃーぎゃー五月蝿く、夜中は地響きのようなイビキで睡眠を妨害。普段から外食している時も周囲の会話が細かく聞こえてしまう俺にはかなりキツイ環境だ。

舌を動かすとじんわり出血あり。明日退院と決まる。