平川克美著「「消費」をやめる」

平川克美著「「消費」をやめる」を読みました。

かなり思い込みが強い書き方が気になりました。

根拠になる数字などが示されないまま「〜〜だと思われる」「〜〜なのでしょう」という書き方をすることが多いです。

僕は読んでいても根拠などを細かく気にする質では無いのですが、この本に関してはなんだか気になりました。

アメリカへの憧れが強い日本人というのを前提で著者は書いていますが、昨今の20代30代でアメリカに強い憧れを持っている人はそれほど多くはいないでしょう。

また、アメリカ人が全員新自由主義の信者であるかのように書いていますが、アメリカ国内でも新自由主義に反対する考えは見られます。トランプ大統領を支持する人達は著者が指摘しているアメリカンドリームを抱いているような古い価値観を持ったアメリカ人でしょう。

その一方で、その考え方に異を唱える人達もたくさんいるはずです。アメリカンドリームの嘘臭さに嫌気が差して、アメリカンドリームを小馬鹿にしているGreen Dayのようなメジャーなバンドもあるくらいです。

なので、物の見方の前提が少し古いような気もしてしまいました。

ただ、トランプ政権が存続していることを考えると、未だにそのような考え方が主流なのかもしれませんね。

「詐欺化するビジネス」ということで日本の携帯料金のことが書かれていますが、最近かんぽ生命の問題が話題になったばかりで、これは生活するうえでも実感しています。

携帯電話の料金体系も然り、自動車業界の不祥事など、利益最優先の企業ばかりです。

そこで僕が感じるのは、不正や詐欺まがいのビジネスを「企業」の責任にしてその不正や詐欺まがいの行為の責任を個人が負っていないことの不自然さです。

企業の利益最優先の考え方が悪いのはもちろんですが、そこで働く個人も利益最優先の考え方に陥っている為にそのような不正に手を出してしまうのではないでしょうか。

いくら上司から言われても、詐欺的行為ならば、やらなければいいはずです。それでもやってしまうのは、個人個人に利益最優先、カネが一番という考え方が染み付いてしまっているからです。

会社に指示された詐欺的行為を拒否すれば最悪クビになることもあるかもしれませんが、それでも拒否出来るような人でありたい。

この本でも書かれていますが、まず「カネが一番」という考え方は改めなくてはなりません。

僕自身、ふと気付くと「カネが一番」という考え方に陥っていることがあります。カネは大切だけど、カネ以外の大切さを忘れないようにしていきたい。

カネが一番なんてなんだか寂しいじゃないですか。