坂口恭平「TOKYO0円ハウス0円生活」

坂口恭平「TOKYO0円ハウス0円生活」を読んだ。

東京に暮らすホームレス達の手作りの家が詳細に調べられていて面白い。ただ、この本が面白いのはその内容よりも、筆者の熱量と行動力だ。とにかく熱い。

ホームレスのように手作りの家を建てて住んでみたいと思っている人は意外と多いのではないかと思う。子どもの頃に、基地作りとかして遊んだことがある人もたくさんいるだろうし、最近はDIYブームだし、ダウンシフトが話題になったりしている。また、海外ではタイニーハウスムーブメントなんてのも起こっている。

ホームレス達の家が気になっている人はけっこういるはずだ。でも、なんとなく気になっているけれど、なかなか実際に彼らに話しを聞いたり写真を撮ったりはできない。坂口恭平は、そのへんの壁を簡単に超えてしまう。

僕は以前、キャンパー(長期間キャンプしている人)のようなホームレスのおじさんにカレーを作ってもらったことがあるのだが、その時に「アンタは、こっちの人間じゃない。まともな暮しが出来るなら、まともな暮しをしなさい」と言われたことがある。

坂口恭平はその壁を感じさせないキャラクターと熱量があるのだろう。

ひたすらホームレスの家を東京だけでなく、大阪や名古屋まで行って調べ上げ、出版社に持ち込むパワー。また、出版された本を自分でヨーロッパに持ち込んで売り込む行動力。自分の興味が向く物に敏感で、これはという物があれば、後先考えず突き進む。

その熱量と行動力は、ちょっと羨ましいと思った。