「半農半X」という言葉がある。
「半農半X」とは簡単に言えば、農作業で自分たちの食べ物を賄い、それ以外の時間で好きなことXをするという考え方だ。
僕はこの考え方には大いに賛成だ。
高知県に移住したのも、この「半農半X」の考え方に感化されたからだ。
自分たちが食べる分だけ農作業をして、それ以外の時間で好きなことをして現金収入を得るというのは、サラリーマン生活に窮屈さを感じ、子どもの頃から家庭菜園が好きで自給自足に憧れていた僕にとっては理想的な生活である。
実際、今も小さな家庭菜園をしながら自給率のアップと、X探しをしている最中だ。
だが、実は今まで「半農半X」という言葉の生みの親である塩見直紀氏の本は読んだことが無かった。
そこで今回初めて本を読んでみたのだが…
簡潔に感想を述べれば「苦手な本」ということになる。
現代の物質経済を批判するようなカウンターカルチャー系の本というのは、スピリチュアルに傾きがちだ。
この本も例外ではなかった。
「天の啓示」とか「和の宇宙」などのワード、それと「家族は素晴らしい」「古い日本食が長生きの秘訣」とか根拠の無い懐古主義が出てくると、僕はどうしても読む気が失せてしまう。
ではなぜカウンターカルチャーはスピリチュアルに傾くのだろう。
それは金銭や物の所有に価値を置く物質主義に対してのカウンターカルチャーである精神主義が、宗教に近しいからかもしれない。
もしくは物質主義の金銭的価値のように数字で表し難い精神的価値を無理に表現するための結果なのかもしない。
半農半Xのような生き方や、精神的な豊かさを追求する生き方には納得出来ることも多いのだけど、どうもカウンターカルチャーのスピリチュアルな雰囲気は苦手だ。
そして、自給自足的生活に憧れているけれど、自給自足生活を送っている人達の雰囲気もあまり得意では無い。
同族嫌悪というやつなのだろうか。
なんか、正しいことをやっているという自負心が見えるのが嫌なんだよなぁ。
そういえばNPOとかも苦手。なんでNPOの名前ってみんな平仮名で格好悪いのかなぁ…
カウンターカルチャーもNPOも、もっと格好良くなれば賛同する人も増えると思うのだけど。