「セルフビルドの世界」が既存のDIYを揺るがす

石山修武著「セルフビルドの世界〜家やまちは自分で作る〜」を読んだ。

これを読むとセルフビルドがどれだけ自由で思想的な物かを再認識させられる。

ただ自分で建てたからセルフビルドなのではない。

そこには建てた者の思想が強烈に反映されてこそのセルフビルドである。

DIYなどという商業主義に乗っかった軽いものではなく、もっと個人的で人間臭い建築物をこの本ではセルフビルドと定義している。

数年前にたまたま読んだセルフビルドのブログで、部屋が狭くて足を伸ばして眠れないから壁に足を伸ばせるだけの穴を開けて部屋を広げたという記事があった。それは、高さ30センチ横80センチスくらいのスペースが壁に設けられていて、それがそのまま外壁になっていた。つまり、外から見ると外壁が一箇所だけ出っ張っているのだ。普通の住宅では絶対にあり得ない構造である。この記事を読んだ時、これこそセルフビルドだと感嘆した。

最近、自分で家を建てようと思って建築について勉強するうちに、建売住宅のような平凡な家を建てようとしていることに気が付いた。

建築について勉強すればするほど自由は無くなり、自分でも気付かないうちに建てようとする物はつまらなく平凡になってしまう。

どうせ自分で作るのならばもっと自由に、もっと人間臭く、グロテスクな物を建ててやろう。