高知の芋天はファストフードだ

高知の名物のひとつに芋天があることをご存知だろうか。高知に移住して2年、芋天が名物だとは知っていたのだが、「所詮、芋の天ぷらだろう。食べなくても分かるわ」と、はなから馬鹿にして食べないでいた。

先日、スーパーで夕飯の買い物をしていたときに、ふと揚げ物が食べたくなり、目についたかき揚げと芋天を買って帰ってきた。そして、帰宅し、食べようとしたのだが、どうも様子がおかしいのだ。

かき揚げは、どこにでもある見た目なのだが、芋天が茶色いのだ。天ぷらというのは、衣が漫画の雲みたいな形をしていると思うのだが、この芋天は妙にのっぺりしていて、天ぷらというより揚げパンのような茶色をしており、油で表面がてらてらしている。「ハズレを引いたな」とその時は思ったのだが、どうやらこれが高知の芋天の正しい姿らしい。

恐る恐るかぶり付くと、「甘い!」芋ではなく、衣が甘いのだ。食感は、サクッというよりカリッ、もしくはガリッという感じで、香ばしく、めちゃくちゃうまい。

うまい。うまいのだが、この衣、どこかで食べたことのある味である。甘くて香ばしくて、こどもの頃好きだった何か…アメリカンドッグだ!高知の芋天の衣は、アメリカンドッグの衣と同じ味がするのだ。

アメリカンドッグの、持つ棒と衣との境のカリカリのところがありますね、あの味がするのです。あれで芋全体が覆われているのです。

高知の芋天は、ファストフード感覚で食べられます。帯屋町の商店街にも、芋天専門店がありますし、日曜市にも芋天の屋台が出ます。所詮芋の天ぷら、と侮るなかれ。一度ご賞味下さい。