セミリタイアは貯金なしでも可能です

最近は、セミリタイアという生き方も少しづつ市民権を得てきているように感じています。

以前は、セミリタイアという言葉自体が一般的ではなく、僕もセミリタイアという言葉を知らなかったので、自分の人生の態度を決めかねていたところがありました。なかなかしっくりくる言葉が無く、「なるべく働かないで暮らしていきたいな〜」とぼんやり考えているだけでした。

僕はセミリタイアという言葉と出会えたことで、目指す方向が具体的になったように感じます。

また、リタイアというと、お金をたくさん貯めて悠々自適というイメージですが、ダウンシフトという言葉も知ることで、自分が将来どうなりたいかが、より具体的になりました。

僕は、中学生の頃習った徒然草や方丈記などの隠者文学が好きでした。少し長いですが方丈記を引用すると、

その家のありさまよのつねにも似ず、廣さはわづかに方丈、高さは七尺が内なり。〜北の障子の上に、ちひさき棚をかまへて、黒き皮籠三四合を置く。すなはち和歌、管絃、往生要集ごときの抄物を入れたり。〜東にそへて、わらびのほどろを敷き、つかなみを敷きて夜の床とす。東の垣に窓をあけて、こゝにふづくゑを出せり。〜南にかけひあり、岩をたゝみて水をためたり。林軒近ければ、つま木を拾ふにともしからず。

の箇所を読んだときに、「なんて羨ましい生活なんだ!」と衝撃を受けたことを覚えています。

そして大人になってからは、深沢七郎や辻潤、山頭火などの本を読み、その自由な人生観に憧れたものでした。

閑話休題

セミリタイアは貯金ゼロでも大丈夫

ところで、セミリタイアの貯金額について、いくらあったら可能か?というブログをよく拝見します。3000万円あれば出来る、とか、一億円は絶対に必要とか。

これ、けっこう曖昧な話しで、そもそも「セミリタイア」という言葉自体が、人によってイメージする内容が違うので、一概にいくらと答えるのは、難しいことだと思います。

僕にとってのセミリタイアは、「労働に縛られない自由な生き方」ということなので、貯金はぜんぜん必要ないと考えています。アルバイトで週に2〜3日働けば食べていける生活態度を身に着ければ、貯金はゼロ円でも、それはセミリタイアなのだと思っています。

現在の僕の生活費は、家賃や光熱費を合わせて5万円以下です。年金と税金を含めても7万円程度。ですから、最低賃金全国最下位の高知県でも、週に3日働けば、時給800円×8時間×週3日×4週間=76,800円なので、余裕で生活していけます。

これは、自動車を所有して毎月旅行してこの生活費なので、もっと生活費を削ろうと思えば削れます。自家用車を処分して駐車場を解約し、旅行を控えれば、あと一万円位は削減出来ます。

もちろん、いざという時のために多少の貯金があれば安心ですが、貯金額をそこまで気にする必要は無いと思います。

「来月は長期旅行に行きたいから今月たくさん働こう」とか、「今月はもう働きたくないから節約して過ごそう」とか、その時その時のお財布事情に応じて働けばいいのです。

正社員や契約社員、派遣社員として数年働いて数年休む、アルバイトで週に2〜3日働いて生活する、アルバイトで最低限稼いであとは趣味を活かしてお小遣いを稼ぐ、自分の会社を立ち上げて自営業者として生活する。

生きていくことに必要なお金が少なければ、どんな働き方、生き方も可能になります。

借金は絶対にしない

注意する点は一点のみ。借金をしないということです。借金だけは絶対にしてはなりません。借金は人生を縛る鎖です。

「旅行に行きたいから、金を借りて、来月多めに働けばいいや」というのは絶対にナシ。旅行にしても、物を買うにしても、まず金を稼いでから買う。当たり前のことですが、こんな簡単なことすら出来ていない人が大勢います。

借金して住宅を買うということが当たり前になっていますが、なんだかおかしいと思います。無いものは無いのだから、買えない、というのが当然だと思うのです。

どうしても住宅が買いたいのであれば、現金一括で買えばいいのです。とにかく、借金だけはしてはいけません。

深沢七郎の仕事感

「楢山節考」で知られる深沢七郎は作家としてデビューするまで、さまざまな職業を転々としていました。彼の自由な仕事感が好きでよく読んでいる箇所を引用します。

「人間滅亡的人生案内」

いちばんおすすめすることは行商などやって放浪すること、お勤めなどしないこと、食べるぶんだけ働いていればのんびりといられます。

「わが享楽の人生の道」という短編では、

私は職を得ることを「入り込んだ」と言った。父親が「こんどは、何屋に入り込むんだい?」と言いながら汽車賃をくれるのだった。

一生同じ仕事をしようとか、天職を見つけようとか、そんなことまったく考えていないことが分かります。

面白そうなことはやってみる

生活費を削減出来れば、嫌々働く必要はなくなります。月に5万円程度であれば、何かしらの仕事は常にあるはずです。

その時その時に、興味を持った仕事に手を出してみる。自由に仕事を変える。蓄えが出来たら何年か休んでみる。そんな生活が僕の考えるセミリタイアです。

以前は、web系の仕事をしていましたが、今度はまったく別の未経験の仕事に就くつもりで現在勉強中です。その前は、またぜんぜん別の業界の営業マンだったので、次で三種類の業種を経験することになります。

歳を取ると、未経験で就職するのは難しい現状がありますが、意外となんとかなるのではないかと楽観視しています。

なぜなら、アルバイトでも生活出来るから。

セミリタイアにはいくら必要か、などと悩んでいるくらいなら、さっさと辞めてしまえ、と思ってしまいます。仕事はなにかしらあります。欲をかかずに必要な分だけ働いて、ちょっと稼いだらごろごろ寝て過ごせばいいのです。

転職を繰り返す人のことをジョブホッパーといいますが、これからはそんな生き方が一般的になっていくかもしれません。

今どき、一つの会社にしがみついて一生を終えるなんてナンセンスです。あと、同じ会社に所属し続ける人が多いと、人材の流動性が失われて、一度離職したらオシマイ、というような生き辛い労働環境を助長しそうです。

ということで、皆さん怖がらずにどんどん転職していただいて、僕の転職活動を助けてもらえたら幸いです。