テレビの力

半年近くテレビを見ない生活をしてきた。ネットと本だけの情報でも、生きる上ではまったく問題はない。ニュースや芸能人のゴシップは、人間個人が生きていく上では無関係だからだ。

ただ、ネットと本だけでは思考が内側に籠もるばかりのような気がしている。

本は自分の興味があるものばかりを読むことになるし、インターネットはそもそも情報として無価値なものばかりだ。考えさせられるようなものは少なく、すぐに消費されて捨てられる即物的な情報ばかりが溢れている。情報はあるが、情報しかないという感じ。

最近テレビをまた見出したのだけれど、NHKのPKOのドキュメンタリーを見ていると、インターネットや本の世界には無い、戦争の眼前に迫るような恐怖を感じた。

実際の虐殺の場面や銃撃戦の映像は、情報として消費するにはあまりにも重い。考えてしまう。

それが報道の意図なのだろうけれど、ものすごく単純に僕は日常が穏やかに過ぎていることに感謝したりする。インターネットのゴシップや下らない情報に、立ち止まってもう一度考えてみたりする。

社会から孤立したり、生きる気力を無くしたりした時に、映像のリアリティは人を救うことが出来るのかもしれない。

観念で死や生をこねくりまわすことの無益さがリアリティの前に露呈する。

凝り固まった考えを崩すには、思いがけない刺激も必要だ。